海と油井
最初のメキシコ湾のプラットホームから、オスベルグ基地まで、わずか50年の隔たりがあるだけですが、両者の間には、500年といってもよいくらいのひらきがあります。
それはなにも、規模や技術の問題に比してのことだけではありません。
海上油井の第1号となった、メキシコ湾に浮かぶ小さなプラットホームは、重量1000トン以下、水深14フィート(約4・2メートル)のところにつくられました。
オスベルグ・アルファ基地は、重量60万トン以上、水深340フィートの海にあります。
こうしたことは、10年や、20年前には考えられなかったことなのです。
私がプラットホームに着くのを待っていてくれたのは、安全管理担当でした。
まず手始めに、彼は、過去に「不可能であったこと」が、現在なんの心配もなく可能となっている数々の例を、手際よく説明しながら、私を中へ案内してくれました。
ここオスベルグからノルウェー本土まで、ノルウェー海溝深く通っているパイプライン、巨大なトロル基地から、石油埋蔵タンクへ石油が注入されるシステムなどが、そうした例のうちにはいります。
彼はさらに、これから掘削を待っている油井のことや、プラットホームから、あらゆる方向に分岐している油井のことも話してくれました。
これらはすべて、数年前まではとても考えられなかったことであり、巨額の資金の前には、不可能が可能になるという現実を見せつけられた思いがしました。